XRP(リップル)でスマートコントラクトを実現する「Codius」が今、話題になっています。
リップル社のチーフ開発者であるDavid Schwartz氏が、ツイッターユーザのXRPとCodiusについての言及に対し丁寧に答えてくれていたので、メッセージを追いながらCodiusの内容を整理してみました。
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XRP(リップル)のスマートコントラクトをCodiusで実現
こんにちは、仮想通貨翻訳ライターのフェニックスA子(@lipton_milk999)です。
今回はリップルのスマートコントラクト機能を実現する、「Codius」について説明していきます。
XRPでは、スマートプログラム・プラットフォームCodiusによるスマートコントラクト機能の開発が行われています。
CodiusはRipple Labで銀行や企業向けのインテグレーションとして利用されます。
cordius公式(https://codius.org)より
スマートプログラム・プラットフォームCodiusとは?
Codiusとは、オープンソースなスマートプログラム・プラットフォームです。Codiusを使ってアプリケーションなどを開発することで、簡単にスマートコントラクト(自動で履行する契約)な機能を持つシステムを作ることができます。
Codiusはオープンソースであることから、様々な技術者が簡単に、コストを抑えて、しかもセキュアにスマートコントラクト機能を開発できるよう配慮されています。
Codiusの中身について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
スマートコントラクトはイーサリアム系トークンのウリだった
スマートコントラクトとは、さまざまな契約をプログラムが自動で行うことで、契約にかかる時間、手間、コスト(人件費を含む)を節減するものです。
インターネットでは、物の売買やサービスの売買、口座の開設、最近では仕事の契約まで様々な契約が交わされています。それには契約主と被契約主だけでなく、中間に入るシステム会社や信用情報の確認など多くの機関が介入するため、時間も手間もかかってしまいます。紙ベースの契約でも、やたらと書類が多くハンコを押すのに時間がかかったりとかったりと、インターネット以上の問題を抱えています。
こういった問題を解消するのが、ブロックチェーン技術を使って契約の履歴をきちんと残し、誰に対しても(必要であれば)情報を開示できる「スマートコントラクト」だったのです。これまでは、スマートコントラクトを代表する仮想通貨はイーサリアム系のトークンでした。
XRPは機能面でもEtheriumと肩を並べることに
今回はXRPがCodiusをベースとしてスマートコントラクトに対応することで、この点においてイーサリアムと肩を並べたと言えます。
XRPとCodiusの関係は、仮想通貨であるXRPがリップル社の金融システムなどを通してこの「Codius」に対応することで、XRPでもスマートコントラクトが行えるようになるというものです。
Codiusとの相性が良いのはXRPが「ブリッジ通貨」だから
XRPがスマートコントラクトに対応するというだけでも期待が持てますが、他の仮想通貨と違ってXRPがスマートコントラクトに対応するからこそ見えてくるメリットがあります。
それは主に、XRPが他の多くの仮想通貨や法定通貨(USドルや円など)の橋渡しをするブリッジ通貨だからです。
David Schwartz氏によるCodiusのメリット
ここで、リップル社のチーフ開発者であるDavid Schwartz氏が、XRPとCodiusについての更なるメリットに言及しています。
事の発端は、とあるリップラーによるXRPとスマートコントラクトに対する言及ツイートでした。
The #Ripple codius smart contract platform could replace the use of both Bitcoin and Ethereum. Could make them obsolete. Why pay more for a transaction on either platform when you could get bitcoin and ethereum features all in one currency. #XRP
— Alex Cobb (@AlexCobb_) 2018年5月1日
RippleのCodiusスマートコントラクトなら、ビットコインとイーサリアムの双方をリプレースできる。この2つのコインはもう古いものになるだろう。なぜXRP一つでできることを、ビットコインやイーサリアムでやるためにコストをかけるの?
このツイートではXRPがCodiusを実装すれば、ビットコインやイーサリアムに取って代われるようになることに言及していま。さらに他の人も、「CodiusであればJavascriptなどの一般的な言語で開発できること、XRPであれば送金コストがかからないこと」もメリットだと言及しています。
これらのツイートに対して、リップル社のチーフ開発者であるDavid Schwartz氏は、さらなるメリットについて言及しました。
Another biggest difference, perhaps one of the most important, is that Codius can keep secrets while Ethereum can’t. That means Codius can, for example, control a bitcoin wallet while an Ethereum smart contract can’t.
— David Schwartz (@JoelKatz) 2018年5月1日
(XRPと他の仮想通貨の)もっとも大きな違いは、こちらの方がおそらく重要で、Codiusであればイーサリアムでも不可能な秘密保持が可能になる。つまり例えると、ビットコインのウォレットを管理することが可能になるということ。これはイーサリアムのスマートコントラクトではできないことだ。
イーサリアムで不可能なスマートコントラクトの秘密保持の問題を解決
David氏は、XRPとCodiusによって、イーサリアムのスマートコントラクトでは不可能なことが可能になると言っています。これは表から(おそらく特定の)契約情報を見えなくすることだと思います。
多くのブロックチェーンは「透過性」をウリにしていて、たとえば世界中の誰からでも口座の中身を見たり、送金などの取引を見ることができる機能を持っています。ただ、このことが不都合になる場合も当然あります。契約で扱うようなデリケートな内容であればなおさらです。
ブリッジ通貨XRPで他の仮想通貨でもスマートコントラクトが可能になり得る
次に、David氏が「ビットコインウォレットも管理できる」といった内容については、XRPがブリッジ通貨であることのメリットを例として端的に表したものだと思われます。
XRPを使って契約するということは、XRPが橋渡しする他の仮想通貨(ビットコインもそうです)や、ドルや円などの好きな法定通貨でも契約できるということです。間にそれなりのプログラムを挟むことが必要ですが、XRPを介せば、契約の代金をビットコインのウォレットから直接支払うようなことも、技術的には可能でしょう。
リップル社はXRPやXRPネットワークを使うための支払い系アプリケーションを多く開発していて、他のプラットフォームと柔軟に連携する用意ができています。
ただ、まだCodiusは開発中で実装されていないことから、あくまでこれらは先の予定であることを付け加えておきます。
CodiusはICOにも使えるかも
こちらも予定ですが、ユーザの「ICOにも使えるってこと?」という質問にも、David氏はこう答えています。
It would work. You could use Codius itself as the ledger and you could also gateway to other platforms such as the XRP Ledger and ERC20 if you wanted. You could have a coin that existed natively on multiple ledgers.
— David Schwartz (@JoelKatz) 2018年5月1日
おそらくICOでも使える。Codius自身を台帳として使うこともできるし、XRP台帳やERC20トークンなどの他のプラットフォームとのゲートウェイにすることもできる。複数の台帳に存在するコインを持つことも可能だ。
ICOはスマートコントラクトがもっともうまく働く例です。仮想通貨によって代金を支払い、トークンを受け取るといった一連の契約手続きが発生するからです。これまでは、イーサリアムERC20トークンのスマートコントラクトを使ったICOが多く行われていました。
もしXRPとCodiusでICOが可能になるのであれば、リップルの流動性が増すだけでなく、多くのICOの代金の支払いを好みの通貨で行うことができるようになります。イーサリアムにとっては脅威かもしれませんね。
まとめ
ブリッジ通貨である仮想通貨XRPと、スマートコントラクトを可能にするプラットフォーム・Codiusとの関係について整理してきました。
David氏の直接の言葉でメリットが語られたことによって、ツイッターの関連スレッドでは多くの議論を呼んでいます。今後も、XRPとCodiusの関係や開発状況については注視していきたいところです。
Codiusの中身について、詳しくはこちらの記事で解説しています。